kum4423’s diary

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「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」によせて、思うこと

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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?岩井俊二監督作品 2017年公開

www.uchiagehanabi.jp

以前観に行った作品に関して。鑑賞し終わってから随分と時間が経ってしまったが、自分の記録の為に書き残しておく。公開と同時に観に行ったから二ヶ月も前だ……

 

舞台は千葉県海上郡飯岡町飯岡町は、千葉県海上郡にあった町。2005年7月1日 - 海上町、旭市香取郡干潟町と合併し、改めて旭市となり廃止。

 

今作品で鍵を握るのが、バートランド・ラッセルによって提唱された哲学における懐疑主義的な思考実験のひとつで「世界は実は5分前に始まったのかもしれない」という仮説の「世界五分前仮説」である。

 

たとえば5分以上前の記憶がある事は何の反証にもならない。なぜなら偽の記憶を植えつけられた状態で、5分前に世界が始まったのかもしれないからだ

— ラッセル "The Analysis of Mind" (1971)

 

正直なところ何言ってるかいまいち分からないが、とにかくこの仮説が今回この作品を楽しむ上で最重要となってくる。

 

個人的な感想としては序盤の1回目の「数分前に戻る(タイムリープとは違う)」という現象が起きた時点で世界五分前仮説が脳裏をよぎった。そして映画を観続けると共にそれはいつしか確信へと変わった。

 

「これはバートランド・ラッセルの世界五分前仮説をリスペクトした作品である」

 

皆さんは「真夜中の五分前」という映画をご存知だろうか?「真夜中の五分前(深夜前的五分钟)」は2014年の日本・中国合作映画で、原作は本多孝好の小説「真夜中の五分前 five minutes to tomorrow」である。

 

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勘違いしないでほしい。タイトルからしていかにも世界五分前仮説が関係ありそうに思えるが、実は全く違う。確かにタイトルは伏線となってる。しかし、実際には最後の主人公の悩みを解決へと導くキッカケとなる材料でしかない。つまり、世界五分前仮説とは無関係であると言える。

 

何が言いたいかと言うと、打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は世にも珍しい世界五分前仮説を題材としている映画なのである。

 

おいおい、「バタフライ・エフェクト」があるじゃねーか!という方はちょっと落ち着いてほしい。バタフライ効果は、初期値鋭敏性と長期予測不能性を説いたものである。全くの別物であると理解してもらいたい。

 

前述の通り、この映画は今までにないタイプの作品だなと個人的に思った。それ故に、この作品はとても一般受けする内容ではないし、理解が難しい作品であるために「つまらない」「意味が分からない」という意見や感想が多々見受けられるのも痛いほど分かる。

 

ただのアニメ映画だと思ったらそれは間違いである。手ぶらで観て楽しめる映画では一切ない。綺麗な描写と音響は楽しめるかもしれないが。ある程度の知識と考察力の元でやっと成り立つ映像作品なのだと、作中のエンドロールが流れている時に一人しみじみ思った。